厳密には似て異なる病気であり、急性胃粘膜病変は急性胃炎と急性胃潰瘍に分かれます。急性胃炎とは病理学的に潰瘍を含まない粘膜筋板までの病変と定義され、急性胃粘膜病変とは上部消化管内視鏡検査を行いびらん・出血・潰瘍などを認め診断される病気です。
症状は急激な上腹部痛(みぞおちの痛み)・悪心・嘔吐・吐血・下血などで発症します。慢性胃炎と比べると症状が強い傾向にありますが、経過は治療により一過性に治まることが多いです。しかし、時に、大出血・ショックをきたすこともあります。
原因は薬剤・薬物・ストレス・感染症・異物などがあげられます。鎮痛剤などの薬剤が最多で、その後アルコール・ストレスなどが多く、一般には男性に多いと言われています。
薬剤・薬物は消炎鎮痛剤・抗生物質・ステロイド・アルコール・腐蝕性物質・香辛料などが原因となります。感染・異物にはヘリコバクター・ピロリ菌・アニサキス・魚骨などがあります。
治療は、出血を認めるような場合は緊急内視鏡検査を行い、止血術を行います。問診や症状によりアニサキスを疑うような場合も緊急内視鏡検査を行い、アニサキスの摘出を行います。
内服薬では制酸剤や粘膜保護剤と呼ばれる薬や痛みの強い時期には頓服で鎮痛剤などを用います。原因除去と薬による治療で一過性に治り、継続して治療する必要はありません。
ただし、ヘリコバクター・ピロリ菌が関係するような場合は除菌治療とともにその後の経過観察が必用となります。詳しくはヘリコバクター・ピロリ菌の項目をご参照ください。
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