俗に「大腸カメラ」と呼ばれる検査は正式には下部消化管内視鏡検査と言い、大腸全体を観察してくる検査となります。大腸の病気にはがん・ポリープばかりではなく、若い方に多い潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患と呼ばれる原因がまだはっきりしない潰瘍を作ってくる病気もあります。
下痢や便秘などの便通異常だけではなく、食欲不振・体重減少・血便・腹痛など色々な理由で検査を御希望される方が多く、特に職場や自治体での大腸がん検診の便潜血反応検査で陽性となって受診される方も非常に多いです。
大腸ポリープは胃ポリープと異なり、腺腫という腫瘍性のポリープが多く、ゆくゆくは大腸がんへと進展してしまう可能性が高いです。また、炎症性腸疾患も炎症のコントロールが悪いとがん化の可能性がある病気となります。
大腸がんは近年増加をしているがんであり、特に女性ではがんの死亡率第一位のがんとなります。これをポリープのうちに発見できれば内視鏡的に摘出できることが多く、そのためがんを未然に防ぐことが可能です。炎症性腸疾患でも治療をすることにより炎症のコントロールができればがんのリスクを下げることが可能です。
しかし、便潜血反応検査陽性の方では症状がない方がほとんどであり、受診されない方・受診しても検査を受けない方・もう一度便潜血反応検査を希望される方などが多く、せっかく検査で指摘を受けてがんの早期発見の可能性を逃してしまっている方がおられとても残念なことと思います。
その原因としては下部消化管内視鏡検査に対する怖さ・恥ずかしさがあることが多いと思います。しかし、実際に検査をお受けになられた方では上部消化管内視鏡検査よりも下部消化管内視鏡検査の方が楽であったとおっしゃる方も多いです。検査に際してはできるだけ痛みなどが少ないような細心の注意をはらった上で(完全に眠ってしまうわけではないですが)少しボーッとするような麻酔を用いて検査を行うことが多く、そこまで苦痛を感じる方は少ないです。
また、過去に検査を受けてつらかったという方やお腹の手術歴がある方については、通常のお尻から入る内視鏡だけではなく、口から少し大きめのカプセルを飲んで検査をするカプセル型内視鏡検査という方法もあります。これはカプセルが流れていきながら消化管の中を観察するため、長い内視鏡が入るのと比べれば違和感が少なく、お尻から機械が入るという恥ずかしさもありません。
検査精度としてはどちらも変わりはないため、選択肢の幅としては広がります。ただし、ポリープが見つかった場合に通常の方法の検査であり大きさが小さければ(概ね1cm以下)、その場で切除・治療が可能ですが、カプセル型内視鏡の場合はそれができませんので、そこだけは御了承ください。
当院では内視鏡検査にAIを導入しておりより精度の高い検査を行うように努めております。まずは不安に思われているよりは一度ご相談にいらしていただければ、丁寧にご説明をさせていただきます。いつでもご相談ください。