脂肪肝は年々増加傾向にあり、人間ドックの腹部超音波検査で脂肪肝を指摘される方は男性では30-40%・女性で15-20%・全体でも25-30%と言われており、これに血液検査で脂肪肝を疑わせる肝機能障害の方を含めるとさらに多くなると言われています。約70%の方が糖尿病を合併していると言われ、肝臓の生活習慣病と考えられます。
脂肪肝の中にはアルコール性のものとアルコールが関与しない非アルコール性のものがあります。非アルコール性とは1日に平均アルコール摂取量が20g以下の方を指します。20gというのはおよそビールで500ml・日本酒で1.5合程度です。正確に計算をされたい方は以下の計算式に当てはめてください。
アルコール量(ml)*度数(%)*0.8=アルコール摂取量(g)例えば5%のビール500mlでは、500*0.05*0.8=20gとなります。
非アルコール性脂肪性肝障害の中にもまた、進行して肝硬変や肝癌に進んでしまう脂肪性肝炎とそうではないものがあります。非アルコール性脂肪肝の中の10-30%が脂肪性肝炎と考えられており、注意が必要です。
非アルコール性脂肪性肝障害からは10年で発癌率は約0.4%であるのに対して、脂肪性肝炎では同じ10年で発癌率が約5%と非常に効率に発癌をしてきます。
現時点では脂肪性肝炎とそうでないものの区別は肝生検でしかないですが、入院が必要であったり、出血の危険性があったりすることなどから、現実的には血液検査や画像検査などから計算して区別するような試みも行われており、それで判定をしたうえで、外来において減量を指導しながら厳重経過観察を行うことが多いです。
こちらに関しても減量がうまくいかないから、脂肪性肝炎とは言い切れないからとそのまま放置してしまう方が非常に多いですが、変化していく可能性はありそれを経過を追って診ていくことは重要です。
決して放置することなく、医師に指示された間隔でしっかりと経過を診ていくようにしましょう。我々医師は、必要ないものは決して経過を診ましょうということはありません。