大腸憩室とは大腸の壁の一部が管腔の外側に嚢状に突出したものであり、大腸壁の弱い部分(血管が筋層を貫通する部位)に発生することが多いです。元来は欧米ではS状結腸を中心とした左側結腸に多く、日本人では右側結腸に多いとされていたが、食習慣の欧米化に伴い日本でも左側が増えてきています。
憩室があるだけであれば問題ないですが、出血・憩室炎を合併した場合に問題となります。
憩室出血は突然に発症し、痛みを伴わないことが多く、経過を診ることが多いですが、場合によっては内視鏡による止血術・バリウム充填術・血管造影による塞栓術などを行うこともあります。この中では内視鏡による止血術が第一選択となりますが、多発していたり、前処置が不十分であったり、すでに止血してしまっていたりと原因が特定できないことも少なくないです。
憩室炎は発熱・腹痛の他、下痢・血便を認めることもあります。右側結腸の憩室炎では急性虫垂炎と区別がつきにくいことがあります。一般的には絶食と抗生物質投与にて治療をしますが、腹膜炎まで併発していると手術となる場合もあります。