若年者に多い慢性に消化管に炎症を起こしてくる病気であり、厚生労働省の特定疾患に指定されています。潰瘍性大腸炎と同様にこちらも近年は患者数の増加が著しく、昭和60年には2,800人であったものが平成9年には15,000人、平成20年には29,000人を超え、平成26年には4万人を超えています。
主に小腸・大腸・肛門(特に小腸の終わり)に炎症を起こしてくる病気ですが、すべての消化管に炎症を起こしてくる可能性があり、若年者の難治性・ピロリ陰性十二指腸潰瘍などはクローン病を疑わざるを得ません。
しっかりとした炎症のコントロールを行えない場合は、腸管全層に炎症が起こり、狭窄(狭くなって通らなくなること)・瘻孔(穴が開いて他の臓器と交通してしまうこと)・膿瘍(膿)や肛門部では痔瘻などの合併症を生じ、日常生活に大きな支障をきたしてしまうことになります。また、潰瘍性大腸炎と比べてもより厳格な食事コントロールが必要です。
こちらも潰瘍性大腸炎同様に点滴や注射剤により炎症のコントロールができることになったため、経過も良好となってきました。しかし、残念ながら、今でも手術などの外科治療を必要とすることも少なくありません。