健康診断で大腸癌検診として実施されているのが、この便潜血反応検査となります。多くの検診では便を別々の日付に採取する2日法が主流ですが、このうち、1回でも陽性反応が出た場合は陽性として取り扱われ、精密検査を受ける必要があります。
仮に100回行いそのうち1回が陽性であったとしても判定は陽性となることを十分にご理解ください。
また、陽性であった場合の精密検査は再度便潜血反応検査を実施することではなく、つまり便に血が混ざるかどうかを知りたいのではなく、大腸癌があるかないかを知りたい検査ですので、大腸に対しての直接の検査、具体的に言うとバリウムによる注腸検査か大腸内視鏡検査となります。
しかし注腸検査を行い、ポリープなどが疑われるとさらに大腸内視鏡検査による精密検査が必要となることや、少なからず被爆の問題があることから、一般的には大腸内視鏡検査による精密検査をすることが進められます。
術後であったり、過去の内視鏡検査が非常につらかった方などに限定されて実施されることとなりますが、近年カプセル内視鏡検査が認められるようになってからはこちらがそれに代わってくる可能性もあり、注腸検査は少なくなっております。
便潜血反応検査陽性となってもその時点ですべてが癌であるわけではありません。報告により差がありますが1~3%が大腸癌です。しかし、その他でも大腸ポリープ・大腸憩室・痔・潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患といわれる病気など以下にある様々な病気が隠れている可能性があります。
逆に癌であっても便潜血反応検査陽性とならないものもあります。進行癌の約10%・早期癌の約50%とも言われます。そのような場合、原因は痔であったものの、潜血の原因ではなかったものの奥に大腸癌が見つかることも珍しくなく、大腸癌の元とも考えられる大腸ポリープとすれば、より頻度が高くなります。
それぞれの病気についての説明は
小腸・大腸疾患の各項目をご覧になっていただき、まずは便潜血反応検査陽性であれば痔だと思って放置したり、再度便潜血反応検査を行ったり、癌を怖がって受診を控えたりすることなく、しっかりと精密検査をお受けになることを推奨いたします。
癌検診の目的は受けることではなく受けた結果、精密検査が必要であればしっかりと受けて癌を早期発見早期治療をしていくことが目的です。