頭痛には器質的疾患のない一次性頭痛と器質的疾患のある二次性頭痛があります。
頭痛の診断には症状が非常に重要になります。受診前に以下の6項目を整理されると診察がスムーズになると思います。
①頭痛の起こり方
②頭痛の場所
③頭痛の性状
④頭痛の持続、頻度、出現時間
⑤随伴症状
⑥増悪因子です。
順に説明をしていきます。
①頭痛の起こり方
突然の発症をしているのか、慢性的に頭痛があるのか、発作性に繰り返しているのか。あるいは片頭痛などでは閃輝暗点という前兆があることがあります。
②頭痛の場所
片側であり常に同じ側であるか、片側だったり両側だったりするか、常に同じ場所に起こっているのか。
③頭痛の性状
経験したことのない激しい頭痛か、ズキンズキンと拍動性か、締め付けられたり重たい感じか、目の奥の突き刺さるような痛みか。
④頭痛の持続、頻度、出現時間
早朝起床時に多く数日から数か月にわかり徐々に増悪しているか、持続性で夕方に強くなる痛みか、反復性で数日間持続するか、反復して夜間に1~2時間持続するか。
⑤随伴症状
悪心・嘔吐、光や音に過敏、痛みの側の流涙や鼻閉、発熱、髄膜刺激症状、局所神経症状。
⑥増悪因子
身体を動かしたときに悪化するか、トイレでいきんだ時に悪化するか。
ここからは一次性頭痛についてお話します。
・片頭痛:
20~40代の女性に多く(男性の4倍)、40%以上に家族歴があると言われます。
約30%に閃輝暗点・視覚消失・片麻痺・失語などの前兆がみられることがあり、前兆の消失後60分以内に頭痛が出現します。頭痛は数時間~3日ぐらい続き、発作は月に1~2回の方から高頻度の方までいます。
片側性でズキンズキンと拍動性の頭痛で、日常の動作で悪化します。多くは両側性に進行していきます。悪心・嘔吐や光・音・臭いの過敏などの随伴症状があり、重症では寝込むこともあります。
誘因にはストレス(特に解放時)・疲労・睡眠不足や睡眠過多・月経周期・天候・光・音・臭い・温度や気圧の変化・頻回の旅行・低血糖・飲酒などがあげられます。治療は誘因となるものを避けることで発作の回数は減らせます。薬では発作の時に使用する薬と予防薬がありますが、予防薬は妊婦さんには使用しずらいものが多いです。
・緊張型頭痛:
30代以降に多く男女差はさほど優位ではありません。日本人の生涯有病率は30%以上と極めて多いです。特別な前兆はなく、一日中痛みが持続することが多く、頻度も年に数回の人から毎日続く人まで様々です。
頭がギューッと締め付けられるような持続性の痛みや頭重感が数十分~数日続きます。痛みは夕方に強くなることが多いです。悪心・嘔吐・光や音の過敏もなく、日常生活に大きな支障をきたすことは少ないです。
誘因は姿勢・頸や肩の凝りなどがあげられます。治療は精神的・肉体的ストレスと取り除くことが目的です。薬では鎮痛薬・抗うつ薬・抗不安薬・筋弛緩薬などが用いられます。
・群発頭痛:
20~50代の男性に多い(女性の5倍)です。片側の目の奥から側頭部をえぐられるような激痛が1時間程続き、決まった時間帯(特に夜間睡眠中が多い)に認められます。
1日に1~3回の頻発する痛みが、1~2カ月の間にまとまって起こります。頭痛時には流水・結膜充血・鼻閉・鼻汁などを認めることがあり、痛みのために日常生活は著しく障害されます。
誘因は飲酒が多く、増悪因子も飲酒です。治療は急性期の注射や酸素投与と予防薬があります。症状も強く、時間帯も夜中が多いため、急性期には病院を受診するようにしましょう。