よしひさ内科クリニック|一般内科、消化器内科、内視鏡内科

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貧血

■貧血について

「めまい」と同様に「貧血」も様々な原因により来院されることがあります。貧血というのは血液中を流れている赤血球の中にあるヘモグロビンという酸素を運搬する役割を持った蛋白質の濃度が低下してしまう状態を言います。

■症状について

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  貧血の症状はめまい・ふらつき・動悸・倦怠感などがあるため、別にお話する狭い意味での眩暈症や低血圧・脱水・発熱などでも同様の症状を認めるため、「貧血」とおっしゃって来院されることが非常に多いです。

 ここでは本来の意味での貧血についてお話します。前述しました通り、貧血は血液中のヘモグロビン濃度の低下により起こります。

  原因としては赤血球が作れない状態・赤血球が壊されてしまう状態・赤血球が失われてしまう状態が考えられます。赤血球が作れない状態というのは材料である鉄分の不足や赤血球を作っている臓器である骨髄の病気などがあります。

  赤血球が壊される状態というのは赤血球の膜が遺伝的に弱い病気や赤血球の膜に対する抗体が存在する病気や赤血球を壊している脾臓の機能が亢進する病気などがあります。赤血球が失われてしまう状態というのは出血となります。

 貧血には赤血球が小さく濃度が薄いもの、大きくて濃度が濃いもの、大きさも濃さも普通のものがあります。小さくて濃度の薄いものには材料がなくて作れない鉄欠乏性貧血や慢性炎症に伴う消耗性の貧血があります。

  大きさも濃さも普通のものには骨髄で赤血球が作れない再生不良性貧血や赤血球を作る命令が出せない腎性貧血、血管内で血液が壊されてしまう溶結性貧血や脾臓の働きが亢進している脾機能亢進症などがあります。

  大きくて濃度が濃いものには胃切除後のビタミンB12の欠乏や葉酸の欠乏などがあり、巨赤芽球性貧血と呼ばれます。

■治療について

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治療は原因によって異なります。主なものについてお話します。

鉄欠乏性貧血:
  外来で最もよくお目にかかる貧血のひとつです。日本では男性の2%、月経がある時期の女性の約25%にみられるといわれています。

  胃腸の病気による吸収不良や変色などによる鉄の吸収が悪い場合、妊娠や授乳による鉄の需要が増える場合、月経過多・子宮筋腫や潰瘍・癌などの消化管出血による鉄の喪失がある場合に分かれます。一般的な貧血の症状の他に、鉄欠乏の症状として舌の粘膜の萎縮や爪の変形が認められることがあります。

  また、異食症といって、氷や土を食べるような症状がでることがあります。治療としてはまずは女性の場合は婦人科疾患が隠れていないか検索することと、消化器疾患が隠れていない検索することが先決です。

  もちろん男性の場合も消化器疾患の検査は必要です。消化器疾患ですが、中高年に多い悪性腫瘍でなくても、若年者に多い小腸・大腸の炎症性腸疾患というものもあるので、年齢関係なくしっかりと検査を受けることが必要です。

  続いて、偏食があるようであれば、食事指導を行い鉄分の多い食事をしっかりと摂取するように指導します。薬による治療では鉄剤の使用があります。鉄剤では悪心・嘔吐などの副作用があり、内服できない場合はやむを得ず静脈注射で使用することもありますが、この場合は鉄過剰症となる危険があるので十分注意が必要となります。

  鉄分を多く含む食材は肉・魚・レバーなどの内臓・穀類・ほうれん草や小松菜などの緑黄色野菜です。このうち、肉・魚から摂取できる鉄分はヘム鉄と言われ、植物性の非ヘム鉄よりも吸収率が高いです。
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再生不良性貧血:
  骨髄の血液を作る細胞が減ってしまいそれにより赤血球が減ってしまう病気です。指定難病となっています。先天性のものと後天性のものがあります。後天性のものの中には薬剤性のものもあります。治療は重症度により骨髄移植・免疫抑制療法・蛋白同化ステロイドなどがあります。

腎性貧血:
  慢性腎臓病になると骨髄での赤血球を作る指令となるエリスロポイエチンというホルモンが減ってしまいます。そのために起こる貧血となり、腎臓に対する治療とエリスロポイエチンの補充が治療となります。

溶血性貧血:
  何らかの理由により赤血球が壊されてしまう病気です。先天性のものと後天性のものがあります。先天性溶血性貧血の中では日本で最も多いのが遺伝性球状赤血球症であり、他にもサラセミア・鎌形赤血球症などがあります。後天性のものには自己免疫性溶血性貧血・溶血性尿毒症症候群などがあります。

  自己免疫性溶血性貧血は自分自身の赤血球に対する抗体ができてしまい溶血が起こる病気で、後天性の溶血性貧血では最も多いです。膠原病によるものや感染症によるものがあります。溶血性尿毒症症候群は腸管出血性大腸菌(主にO-157)感染後に続発して見られることで有名です。非常に重篤な腎障害をきたし、要注意が必要な病気です。小児に多いです。

巨赤芽球性貧血:
  ビタミンB12欠乏によるものが多いです。ビタミンB12は胃で産生されるCastleの内因子と言われるものと結合することにより回腸(小腸の終わりの半分)より吸収されます。

  胃切除後ではこの内因子が出てこないため、貧血となります。胃切除後早期は鉄欠乏性貧血を呈し、5~6年経過するとビタミンB12欠乏性貧血となります。

  また、胃の粘膜が萎縮して萎縮性胃炎になるとやはり内因子がでないため同様に貧血となります。自己抗体により胃粘膜が萎縮する病気もあり、これを悪性貧血といいます。悪性貧血は高齢者に多く、胃癌を合併しやすいので注意が必要です。

  変わったところでは、サナダムシなどの寄生虫感染によりビタミンB12欠乏をきたすことがあります。葉酸欠乏は慢性アルコール中毒などで診られることがあります。

  一般的な貧血の症状に加えて舌炎や亜急性脊髄連合変性症という神経症状や認知症・白髪などを認めることがあります。治療はビタミンB12欠乏ではビタミンB12と補充するのですが、口から服用しても吸収障害があるので筋肉注射で補充します。

  葉酸欠乏では葉酸を口から投与、もしくは筋肉注射にて投与します。一般に成人の身体での貯蔵量はビタミンB12は数年分、葉酸は数か月分あると言われており、すぐには症状が出ないことが多いです。
よしひさ内科|原田院長
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