関節リウマチは最も多い膠原病です。膠原病は別名、自己免疫疾患と呼ばれることもあります。
その名の通り、自己免疫による病気です。免疫とは自分と自分以外を識別して、自分以外を排除するための働きです。一度かかった病気にかかりにくくなったりするのはこの免疫によるものであり、予防接種を行うことはこの免疫を作るために行っています。
本来自分以外を排除するために働く免疫が、何らかの理由により自分自身に対して働いてしまった病気を自己免疫疾患、膠原病と言います。関節リウマチの他にも、全身性エリテマトーデス・抗リン脂質抗体症候群・強皮症・シェーグレン症候群など多彩にあります。
また、肝臓の項目で触れる、自己免疫性肝炎・原発性胆汁性胆管炎や、膵臓の項目の自己免疫性膵炎、甲状腺の項目のバセドウ病や橋本病なども膠原病の仲間です。多くの膠原病は指定難病に認定されています。
このように色々な臓器にわたる膠原病ですが、その中でも最も多く、日本人での有病率が約0.5~0.8%もあるのが、関節リウマチです。こちらも指定難病に認定されています。
30~50代で発症することが多く、女性に多いです(女性が男性の4倍)。原因は自己免疫で、遺伝的要因・環境的要因が関与すると考えられています。
症状は朝のこわばり感があり、左右対称の関節炎を認めます。手指の第一関節(指先に近い関節)にはほとんど炎症を起こしません。これらが慢性的になると、ボタン穴変形・スワンネック変形・尺側偏位・外反母趾・頸椎環軸関節亜脱臼などの変形をきたしてくることがあり、特に頸椎環軸関節亜脱臼は致命的となることもあります。
このような関節症状の他に、皮下結節・胸膜炎や間質性肺炎などの肺病変・眼病変・心膜炎などの心病変・手根管症候群などの末梢神経障害・腎障害など多岐にわたります。また、易疲労感・微熱・体重減少などの全身症状を伴うこともあります。
シェーグレン症候群などの他の膠原病を合併したり、腎障害や骨粗鬆症などを合併することもあります。
治療の第一選択は使用できない状況がない限りはメトトレキサートという薬になります。使用できない状況は、妊娠希望者・授乳中・骨髄抑制・慢性肝疾患・腎機能障害・重篤な感染症・胸水や腹水がある場合などです。
メトトレキサートなどの疾患修飾性抗リウマチ薬といわれる薬で効果不十分の場合は、インフリキシマブ・アダリムマブなどの生物学的製剤や分子標的薬を用います。ステロイドや鎮痛剤は症状を抑えるために補助薬として用いられます。この他、変形が強い場合は手術療法やリハビリテーションなどを行っていきます。