LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が120mg/dl以上、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が40mg/dl未満、中性脂肪が150mg/dl以上のいずれかを満たす場合に脂質異常症(高脂血症)と診断されます。動脈硬化の危険因子となります。
LDLコレステロールは増加・変性すると動脈の壁に沈着していき、動脈硬化を起こします。HDLコレステロールは過剰なコレステロールを回収することでコレステロールの蓄積を防ぎ、動脈硬化を抑制します。LDLコレステロール増加・HDLコレステロール低下は動脈硬化を進行させてしまいます。
特に高LDLコレステロール血症が動脈硬化の最も危険因子となります。LDLコレステロールが120mg/dl未満、HDLコレステロールが40mg/dl以上を満たすことができれば、さらにLDLをHDLで割った値が2.0未満、できれば1.5未満になるようにすると動脈硬化の伸展は防ぎやすいです。
基本的には無症状ですが、動脈硬化が進んでくると動脈硬化に伴う症状(狭心症・心筋梗塞・脳梗塞・閉塞性動脈硬化症など)が認められます。
原因は過食・過度の飲酒・運動不足・喫煙などの生活習慣によるものが多く、遺伝的な素因であったり、他の基礎疾患に伴う二次性のもの(甲状腺機能低下症・原発性胆汁性胆管炎など)もあります。
治療はまずは生活習慣の改善が大前提となります。禁煙・標準体重の維持・動物性脂肪の制限・魚や野菜の摂取・アルコールの多飲を控える・一日30分以上の有酸素運動などを行うように指導します。動物性脂肪はLDLコレステロールを上昇させるので、できるだけ脂身を除いた肉を摂るようにしてください。ホルモンなどの内臓も非常に多いので注意が必要です。
また、魚卵・鶏卵も摂り過ぎないようにしてください。HDLコレステロールを上昇させるのは標準体重の維持と適度な有酸素運動です。有酸素運動とはウォーキング・ジョギング・水泳などのしっかりと呼吸で酸素を取り入れてある程度のまとまった時間する運動です。
運動の目安は一日に30分もしくは二日で60分と言われます。この時間ですが、原則的には連続運動と言われています。よくジョギング中に信号待ちで足踏みをしている人を見ることがあると思いますが、一度完全に立ち止まってしまうと0からのスタートとなりますのでご注意ください。
それでも改善が認められない場合は薬を開始します。薬は高LDLコレステロール血症ではスタチンと呼ばれる薬、高中性脂肪血症ではフィブラート系と呼ばれる薬を用います。いずれの薬も横紋筋融解症という副作用を認めることがあり、定期的(一般には3カ月に1回程度)に血液検査を行い、CPKという筋肉由来の酵素の数値を確認していくことにより安全に服用していくことができます。
前述したとおり、基本的には無症状であり、治療は動脈硬化の発症予防もしくは再発予防が主なので、十分御理解をいただいたうえで、中断してしまうことが無いように服薬していく必要があります。また、薬を服用して数値が改善したとしても、生活習慣の改善がなければ再び上昇してきてしまいます。生活習慣の改善を維持しつつ、自己中断することがないように頑張っていきましょう。