消化器疾患でよく遭遇する寄生虫疾患にはアニサキス症・ジアルジア症・日本住血吸虫症などがあります。
アニサキスと呼ばれる寄生虫が寄生した魚介類(サケ・サバ・カツオ・アジ・イカ・タラなど)を生食した際に起こる病気です。アニサキスが胃壁や腸壁に潜り込むことにより症状を引き起こします。
生食から約3~4時間程度で突然の激しい腹痛・吐き気・嘔吐などを認めます。胃炎や胃潰瘍などと比べてもかなり激しい腹痛を訴えることが多いです。(稀に症状の乏しい方もいます。)人によってはじん麻疹などのアレルギー症状を認めることがあり、サバアレルギーを思われていた方が実はアニサキスのアレルギーであったという報告も認められます。
治療は内視鏡による摘出術(内視鏡による手術となります)を行い、摘出すると嘘のように痛みが取れます。
本来アニサキスは人間に寄生するものではないため、人体の中では成虫になることもできず、中間宿主でもないため存在し続けることもできずに数日程度で死んでしまうか排泄されます。
アニサキス症を引き起こすアニサキスは幼虫であるため長さはせいぜい2~3cmですが、最終宿主であるイルカ・クジラ・アザラシなどの海生哺乳類までたどり着くと成虫となり5cmから大きいと20cmにも育つことがあります。
ランブル鞭毛虫による感染性胃腸炎です。ランブル鞭毛虫を含む、生水・生野菜・生ジュースなどを摂取して7~10日程度の潜伏期間を経て、激しい下痢・腹痛・嘔吐で発症します。治療は適切な抗生物質の服用となりますが、不十分な治療を行うと、慢性化することがあり、そうなると胆道に入り込み胆嚢炎や胆管炎となることもあります。
俗にサナダムシと言われる寄生虫が腸管に感染する病気です。様々な種類があり、牛肉から感染する無鉤条虫・豚肉から感染する有鉤条虫・サケやマスから感染する広節裂頭条虫などが有名で、これらの食材の生食により感染します。
時に体長は数mにまで成長します。 下痢・腹痛・体重減少などを起こすこともありますが、多くは無症状で肛門からひも状の虫体が出てくることにより気が付くことが多いです。
治療は駆虫薬を服用することとなります。ただし、サナダムシに対する駆虫薬は保険適応外であるため、診療は保険診療となりますが、処方・投薬は自費(処方箋は税込1,122円。別途薬局で費用がかかります)となります。治療後、1か月後頃に便検査を行いその中の虫卵を確認することにより治癒を確認いたします。
肛門から気になるひも状のものが出てきたら、すぐに病院を受診するようにしてください。受診の際には実物(乾燥しないようにお願いします)をお持ちになるか、携帯電話の写メなどがあると診断の助けとなるので、お願いいたします。